2021 年 20 巻 2 号 p. 190-195
本論では、日本における区分所有法と米国におけるHOA(Homeowner Association)にかわる先取特権制度(Super priority lien)を比較考察することを通して、集団で住宅管理を行う組織の権限とその限界について考察することを目的とする。日本のマンション管理組合と、米国のUCIOAが想定しているHOAでは、対象物件の物理的状況が異なるが、共有部分の管理問題にどう対応するかという点において、直面する課題と今後の対策について、共有できる部分があると考える。本論で整理したHOAにかかわる先取特権制度は、あくまで規程を対象に考察した内容である。今後は、さらに運用に伴う具体的判例などから、運用実態を明らかにする必要があると考えている。