都市計画報告集
Online ISSN : 2436-4460
20 巻, 2 号
都市計画報告集
選択された号の論文の22件中1~22を表示しています
  • 京都の52庭園1353本のモミジに学ぶ
    井口 とも, 村上 修一
    原稿種別: 研究論文
    2021 年 20 巻 2 号 p. 157-161
    発行日: 2021/09/07
    公開日: 2022/06/08
    研究報告書・技術報告書 フリー

    京都の庭のモミジは,その審美的価値観が人々の間に定着していると考えられる。そこで,戸建住宅の小規模な庭にモミジを植栽する際の援用ツールとして,モミジを中心とする平面構成を京都の寺院等の実例より抽出してカードを作成した。文献に掲載された52庭園の実測図から,モミジの樹幹を中心とする2m四方の平面構成が1353サンプル得られた。平面構成の中には,モミジ以外の要素として,高木,低木,建物,灯篭,景石,飛石,橋,白砂,苔,芝,水,園路の12種のいずれかが含まれていた。要素の種類,数,配置の違いによって分類された平面構成490パターンのカードが生成された。カードを用いた設計シミュレーションが行われ,有効性と課題が確認された。

  • まちと川との近しい関係を創出する霞堤の可能性に着目して
    村上 修一
    原稿種別: 研究論文
    2021 年 20 巻 2 号 p. 162-166
    発行日: 2021/09/07
    公開日: 2022/06/08
    研究報告書・技術報告書 フリー

    堤防が不連続である霞堤は,堤防のすき間をとおしてまちと川との近しい関係を創出すると仮定された。その解明への第一歩として,国内48水系296箇所の霞堤における土地被覆と土地利用が航空写真と地図によって把握された。公園緑地として利用されていることの確認された38箇所については,主体とする施設に違いはあるものの,それらの施設利用を目的とする来訪者が堤防のすき間にいる可能性が指摘された。そのうち13箇所については,堤防のすき間にある公園緑地が堤内地側の市街地や集落と堤外地とを空間的につないでいる可能性も示唆された。本調査では把握することのできなかった川に対する可視性や接近容易性の検証が今後の課題として挙げられた。

  • 清水 千江, 佐藤 雄哉, 坪井 志朗
    原稿種別: 研究論文
    2021 年 20 巻 2 号 p. 167-174
    発行日: 2021/09/07
    公開日: 2022/06/08
    研究報告書・技術報告書 フリー

    本研究は、昭和期に公的主体が開発した住宅団地内の複合公共施設に着目している。本研究では以下のことが明らかになった。昭和期に公的主体が開発した住宅団地は375あった。また、375団地の中で複合公共施設を有するのは79団地であった。79団地の中には89の複合公共施設があった。89の複合公共施設の中でも昭和期に建設された施設は34あった。ただ、34の複合公共施設の中で今後も維持する方針が公共施設等総合管理計画や都市マスに記載されている施設は少数であった。持続可能な複合公共施設の運営には、すべての年代の市民が利用可能な機能を備えることが必要である。

  • 西坂 涼, 矢澤 優理子, 古谷 勝則
    原稿種別: 研究論文
    2021 年 20 巻 2 号 p. 175-179
    発行日: 2021/09/07
    公開日: 2022/06/08
    研究報告書・技術報告書 フリー

    東日本大震災の被災地では、震災伝承や防災教育等を目的に多数の展示施設や石碑がつくられた。 2021年4月現在、200以上の施設が国、自治体等のつくる協議会により「震災伝承施設」として登録されている。 本研究は、GIS(地理情報システム)による到達圏解析を用いて、これらの施設の地理的ネットワークを明らかにした。東北四県の震災伝承施設のリストを作成、マッピングして、徒歩や自転車による移動距離によって施設間のアクセスしやすさ等を分析した。実際の来訪者の行動を想定して、訪問可能な施設のネットワーク等を考察した。

  • 太田 尚孝, 新保 奈穂美
    原稿種別: 研究論文
    2021 年 20 巻 2 号 p. 180-185
    発行日: 2021/09/07
    公開日: 2022/06/08
    研究報告書・技術報告書 フリー

    本研究の目的は、ベルリン市のゲルリッツ公園にて導入されているパークマネージャーの実態を成果と課題を明らかにすることである。2019年9月の現地調査、インタビュー調査、文献調査により、以下の3点が明らかになった。1)ゲルリッツ公園では、治安改善のための活動は既に行われており、パークマネージャーの実験的導入は最後の望みだった。2)ゲルリッツ公園のパークマネージャーを中心とした活動は、ボトムアップ型の組織をつくり、主体間協働による課題解決を目指しているが、具体的な成果には至っていない。3)ベルリン市ではゲルリッツ公園をモデルにその他の公園にもパークマネージャーを導入しているが、その内容には変化がみられる。

  • 奈良盆地東縁断層帯を対象としたシミュレーションを通じて
    李 惠智, 中山 徹
    原稿種別: 研究論文
    2021 年 20 巻 2 号 p. 186-189
    発行日: 2021/09/07
    公開日: 2022/06/08
    研究報告書・技術報告書 フリー

    日本は地震が多い国の一つであり、2000個以上の活断層が確認され、直下型地震の危険性が高い。しかし、直下型地震に対する対策があまり行われていないのが現状である。本研究では、国内外の活断層対策内容と日本の土砂災害と津波災害の取り組み内容をもとに、活断層直上を空地にするための新たな土地利用制限を提案する。また、長期計画(50年)と短期計画(10年または20年)のシミュレーションを行うことで、その可能性を考える。このシミュレーションが実行できないと判断される地域に関しては、被害を最小で抑えるための対策を提案する。この計画は、人口減少や減災などの社会問題の対策の一つにも繋がると期待できる。

  • 日本の区分所有法と米国のSuperpriority Lienとの比較論考
    西浦 定継, 平 修久, 吉川 富夫
    原稿種別: 研究論文
    2021 年 20 巻 2 号 p. 190-195
    発行日: 2021/09/07
    公開日: 2022/06/08
    研究報告書・技術報告書 フリー

    本論では、日本における区分所有法と米国におけるHOA(Homeowner Association)にかわる先取特権制度(Super priority lien)を比較考察することを通して、集団で住宅管理を行う組織の権限とその限界について考察することを目的とする。日本のマンション管理組合と、米国のUCIOAが想定しているHOAでは、対象物件の物理的状況が異なるが、共有部分の管理問題にどう対応するかという点において、直面する課題と今後の対策について、共有できる部分があると考える。本論で整理したHOAにかかわる先取特権制度は、あくまで規程を対象に考察した内容である。今後は、さらに運用に伴う具体的判例などから、運用実態を明らかにする必要があると考えている。

  • 村田 夏菜子, 後藤 智香子, 新 雄太, 近藤 早映, 熊越 祐介, 吉村 有司, 小泉 秀樹
    原稿種別: 研究論文
    2021 年 20 巻 2 号 p. 196-203
    発行日: 2021/09/07
    公開日: 2022/06/08
    研究報告書・技術報告書 フリー

    本研究では、首都圏の4つの郊外住宅地でのアンケートおよびインタビュー調査・分析を通して、新型コロナウイルス感染症感染拡大下における郊外住宅地居住者の「居場所」の形成やその変容を明らかにするとともに、感染拡大下において生活満足度を高めるための郊外まちづくりに関する示唆を得た。その結果、「居場所」の種類や数の変化自体は生活満足度に影響を与えないが、外出の自粛などライフスタイルの変化によって重要な「居場所」が失われると生活満足度が低下することが示唆された。感染症感染拡大下にて生活満足度を高めるためには、住宅地での生活するための選択肢を増やし、リアルな空間とデジタルな空間を融合させながら「居場所」を維持する工夫が必要であると考えられる。

  • 東京都立猿江恩賜公園におけるモデル調査
    高橋 和敬, 上杉 哲郎, 池田 龍仁, 竹内 智子
    原稿種別: 研究論文
    2021 年 20 巻 2 号 p. 204-210
    発行日: 2021/09/07
    公開日: 2022/06/08
    研究報告書・技術報告書 フリー

    都市における公園や緑地は、緑の量や質だけではなく、居心地の良さが求められるようになった。COVID-19を契機に、さらに健康の維持増進、地域コミュニティ醸成、身近な都市活動の場などとして社会的な役割を持つものとして見直されている。本研究は㈱日比谷アメニスと千葉大学との共同研究の一環として、東京都立猿江恩賜公園で行った、公園利用者の行動特性からどのように公園が利用されているか基礎的な知見を得ることと、その調査方法を確立するために実施したモデル調査の研究速報である。

  • 大阪府羽曳野市の障がい者支援施設および障がい福祉サービス等事業所を事例として
    久谷 真輝, 小塚 みすず, 田島 喜美恵, 三村 泰広
    原稿種別: 研究論文
    2021 年 20 巻 2 号 p. 211-216
    発行日: 2021/09/07
    公開日: 2022/06/08
    研究報告書・技術報告書 フリー

    本研究では、障がい者支援施設および障害福祉サービス等事業所を利用する障がい者および重症心身障がい者の外出を伴う余暇活動の現状を把握し、考察することを目的とした。大阪府羽曳野市をサービスの対象とする施設・事業所を対象にアンケート調査を実施した。その結果、外出を伴う余暇活動の実施にあたり、障がい者の排泄に関わる事項について特に配慮していることが明らかとなった。そのほか、障がい者の外出先が限定的になることや障がい者と接する社会の障がい理解醸成の必要性、移動時の環境に関する問題や、さらに新型コロナウイルス蔓延による影響など、施設・事業所が直面している事項が明らかとなった。

  • 森田 洋史, 塩﨑 洸, 荻野 紗央, 深谷 麻衣, 榊原 康己, 竹内 萌恵, 陶山 功陽, 中川 真輝, 山岡 祐貴, 樋野 公宏, 井 ...
    原稿種別: 研究論文
    2021 年 20 巻 2 号 p. 217-220
    発行日: 2021/09/07
    公開日: 2022/06/08
    研究報告書・技術報告書 フリー

    立地適正化計画が目標としているコンパクトで歩いて暮らせるまちづくりにより、住民の健康増進や身体活動促進の効果が期待される。そこで、住民の健康に配慮した立地適正化計画を評価する項目を提案し、実際に北関東の44自治体を対象に評価を行った。また評価結果と人口統計との相関や、自治体の都市計画課の担当者に対する評価結果のヒアリングを通じて、提案した評価項目の妥当性を論じた。

  • 空間構成,開発経緯,開発主体に着目して
    池内 亮太, 新 雄太, 後藤 智香子, 熊越 佑介, 近藤 早映, 吉村 有司, 小泉 秀樹
    原稿種別: 研究論文
    2021 年 20 巻 2 号 p. 221-226
    発行日: 2021/09/07
    公開日: 2022/06/08
    研究報告書・技術報告書 フリー

    欧州の複合化サッカースタジアムに共通する特徴を抽出することで,今後の日本でのスタジアム開発への知見を得ることを目的として,日本で得られたデータから欧州のサッカースタジアムの傾向と複合化サッカースタジアムの特徴,5つの事例のケーススタディから空間構成や開発経緯,開発主体についての実態を明らかにした.スタジアム開発は国内リーグや国際大会を契機に行われやすく,自動車でのアクセス性が重視されることがわかった.さらに複合化スタジアムは主に1990年以降,地域の再生の手段として,低未利用地に商業施設とオフィスを伴い開発され,公共交通でのアクセス性が重視されることが明らかとなった.また,クラブの開発意向に市による開発の動機が加わることで,官民連携での開発が行われやすい.一方,優勝回数の多い知名度のあるクラブで複合開発が行われやすいものの,開発は資金面でハードルが高いことが課題として挙げられる.日本では,地方自治体がスタジアムを所有する場合が多いので,地方自治体の計画のもと民間活力を生かした開発が行われる可能性は高い.

  • 木津川上津屋橋を事例に
    唐津 遼大郎, 甲斐田 直子
    原稿種別: 研究論文
    2021 年 20 巻 2 号 p. 227-232
    発行日: 2021/09/07
    公開日: 2022/06/08
    研究報告書・技術報告書 フリー

    近年、日本政府は防災取り組みを推進しており、ハードインフラ対策のみならずソフト対策も強化している。防災目的でなく必ずしも構造的に頑強でない日常生活インフラは、防災に関する意識の喚起を通じて周辺住民の防災リスク認識を高めることが考えられる。本研究は、京都府木津川にある上津屋橋(通称流れ橋)を対象に、周辺住民が抱く橋の認識と河川認識、地域愛着、防災行動負担感、防災行動意図・実践の関係性を検証した。質問紙調査データ(n = 308)を用いた相関分析および共分散構造分析の結果、流れ橋認識が防災行動を直接促進するとともに、河川認識および地域愛着の向上および防災行動負担感の軽減を通じて防災行動に間接的に寄与することを明らかにした。

  • デンマーク計画法における位置づけとSkive市コムーネプランの分析を通して
    野口 佑芽, 鶴田 佳子
    原稿種別: 研究論文
    2021 年 20 巻 2 号 p. 233-238
    発行日: 2021/09/07
    公開日: 2022/06/08
    研究報告書・技術報告書 フリー

    本研究は包括的な空間計画を持ち、再生可能エネルギーへの転換が急速に進むデンマークを取り上げ、再生可能エネルギー施設を適切に規制誘導するための立地コントロールを調査した結果、デンマーク計画法を法的根拠として、再生可能エネルギー関連施設を市の空間計画の中に含めて計画しており、風力タービンは農村地域を多く含む地域に、地域熱供給や屋根に設置するような小規模風力タービンは都市地域へ計画されていることが分かった。加えて、国土の9割以上を占める農村地域に計画され、立地誘導されることとなる風力タービンや現在、同様に農村地域のへの立地誘導を検討中の太陽発電施設は、ガイドラインにより自然や景観に配慮するための立地規制や立地にあたっての配慮事項を設けていることが分かった。一方で施設自体については主に周辺への景観への配慮を記載した定性基準であったが、風力タービンについては建設許可時に解体保証を規定している点が注目される。

  • 萩原 隼士, 森本 章倫
    原稿種別: 研究論文
    2021 年 20 巻 2 号 p. 239-243
    発行日: 2021/09/07
    公開日: 2022/06/08
    研究報告書・技術報告書 フリー

    近年,ICTを利用して都市の全体最適化を目指す「スマートシティ」に関連した取り組みとして,スマートシティを統括するITシステムである都市OSの構築が進められている.都市OSは都市の様々なデータを収集する機能を有しており,得られたデータを分析することで都市の課題や将来の予測を明らかにできる.一方で,得られたデータを利活用するまちづくりを,スマートシティという枠組みの中でどのように促進するかという研究は十分でない.そこで本研究では,データを利活用するまちづくりに必要な機能群を一つのフレームとして示し,これに基づいた都市OSの機能の一部を構築する.さらにこの都市OSを試験的に運用することで,まちづくりを目的として都市OSの構築や都市OS内のデータを利活用する際の課題を明らかにすることを目的とする.

  • (その2)COVID-19流行初期の福岡県と熊本県北部地域における移動図書館実施状況
    加藤 浩司
    原稿種別: 研究論文
    2021 年 20 巻 2 号 p. 244-247
    発行日: 2021/09/07
    公開日: 2022/06/08
    研究報告書・技術報告書 フリー

    本研究は,事例調査を重ねることを通じ,人口減少時代の地方都市における移動図書館の価値を再定義し,その価値をさらに引き出すための方法論について検討するものである。「新型コロナウィルス感染症(COVID-19)」の世界的な流行を受け,日本でも文教施設が従来の役割を発揮できないことが各地でしばしば見られた。そのような中,移動図書館はどのように動いていたのか。筆者が担当する研究室では,移動図書館を実施する福岡県内の16自治体と熊本県北部地域の4自治体を対象に,COVID-19流行初期における移動図書館の実施状況について調査を行った。結果,図書館施設でのサービスが制限されている中でも,感染拡大に対する対策を講じた上で移動図書館が稼働していたことが明らかになった。

  • 2020年8月を対象として
    大西 暁生, 一ノ瀬 俊明
    原稿種別: 研究論文
    2021 年 20 巻 2 号 p. 248-251
    発行日: 2021/09/07
    公開日: 2022/06/08
    研究報告書・技術報告書 フリー

    本研究では,首都圏を対象に夏季の時系列的なデータを用い,空間統計手法によって地表面温度の慢性的なホットスポットとコールドスポットを抽出した.そして,このホットスポットとコールドスポットの空間的な特徴を土地利用との関係から把握した.

  • 鈴木 亜未子, 松本 邦彦, 澤木 昌典
    原稿種別: 研究論文
    2021 年 20 巻 2 号 p. 252-257
    発行日: 2021/09/07
    公開日: 2022/06/08
    研究報告書・技術報告書 フリー

    本研究では、地域集会施設の指定管理者の特徴や施設での取り組みが、住民の施設利用促進やコミュニティ醸成に与える影響を明らかにすることを目的に、法人格を持つ組織や法人格を持つ組織が含まれる事業共同体が指定管理者である地域集会施設の指定管理者に対するアンケート調査を実施し、177施設から回答を得た。中学校区以下の規模の地域を対象とする施設(狭域型)では、利用者や管理運営に関する情報を地域住民と共有すること、中学校区より大きい規模の地域を対象とする施設(広域型)では、自主事業として実施される取り組みや住民による自主グループ結成支援をすることで、施設の利用者の増加及び地域住民同士や活動団体間の交流が促進される可能性があることが明らかになった。

  • 岡田 早彩, 松本 邦彦, 澤木 昌典
    原稿種別: 研究論文
    2021 年 20 巻 2 号 p. 258-264
    発行日: 2021/09/07
    公開日: 2022/06/08
    研究報告書・技術報告書 フリー

    本研究は、多自然地域に立地する多地域居住者が利用できる滞在拠点を対象として、多地域居住の促進に向けて、滞在拠点の役割と立地特性・事業内容を明らかにすること、そしてそれらと多地域居住促進効果との関係性を明らかにすることを目的とする。自治体の多地域居住関連施策の特徴と、滞在拠点の立地や事業内容、多地域居住者のニーズに関する調査を行った。滞在拠点の事業内容は、地域とのつながりづくりのサポートといった、多地域居住者の地域での生活のイメージ形成を助けるものが多いことが明らかになった。多地域居住者のニーズとも合致していることからも、地域での生活のイメージ形成を助ける機能を有する滞在拠点の整備により、田舎暮らしに興味のある人の多地域居住の促進につながることが示唆された。

  • 京都市北嵯峨・歴史的風土特別保存地区内の景観保存の取組
    渡邊 大郎, 山口 敬太, 谷川 陸
    原稿種別: 研究論文
    2021 年 20 巻 2 号 p. 265-269
    発行日: 2021/09/07
    公開日: 2022/06/08
    研究報告書・技術報告書 フリー

    京都市右京区に位置する北嵯峨地域では,地元耕作者団体や民間企業,NPO,行政等,多様な主体の参画によって地域の田園景観保全のための取組みを進めてきた。多様な主体のノウハウを生かして,地域の特産である竹を発酵チップ化して土壌改良することや,京都市動物園の象排泄物を発酵させて肥料にすることなど,地域の特色を生かした肥料や,統一した耕作法によって,収穫されるお米の品質を高めることで,後述する古今嵯峨米のブランド化が進み,地域の耕作者による耕作継続意識が高まっている。一方で,多様な主体は異質性とも言い換えることが出来る。E.オストロムらは,集団内の異質性が高まると,集団の合意形成能力や信頼等の低下が引き起こされることを指摘している。本取組みは,異質性が高いともいえる取組みにも関わらず,関わる多様な主体がそれぞれに意欲的に取り組んでいる理由及びその意識の変化に影響を与えたと考えられるメディエイターの役割について、取組の当初から携わる編者らが、なぜ、どのようにして取組が進んでいるのか分析した。

  • 丹下 誠司, 坂本 慧介, 山崎 嵩拓, 飯田 晶子, 横張 真
    原稿種別: 研究論文
    2021 年 20 巻 2 号 p. 270-276
    発行日: 2021/09/07
    公開日: 2022/06/08
    研究報告書・技術報告書 フリー

    本研究は、地方圏において生産緑地制度が運用されている13の自治体を対象として、市街化区域農地に対する価値認識がいかに変化し、生産緑地指定の拡がりへと繋がって来たかを明らかにした。研究の結果、市街化区域農地における課税負担額の増大が引き金になり、地方圏でも生産緑地指定が拡がり始めたことがわかった。また、そうした経済的要因だけではなく、2015年の都市農業振興基本法の制定を機運として、「防災協力用地」「食農体験の場」など市街化区域農地に新たな役割・価値づけを付与する動きの中で、生産緑地指定が拡がっていることもわかった。

  • 静岡県裾野市の新駅計画を事例に
    馬 珏, 瀬戸 寿一, 小俣 博司, 関本 義秀
    原稿種別: 研究論文
    2021 年 20 巻 2 号 p. 277-283
    発行日: 2021/09/07
    公開日: 2022/06/08
    研究報告書・技術報告書 フリー

    本論文は、地域計画プロセスに関するラフなアイデアを具体化するために、市民指向のデジタルデザイン地域計画ツールの最初のプロトタイプを示している。このツールは、カスタマイズ機能として将来の都市形態を予測するために定義された、ウェブベースの市民参加型プラットフォームの都市計画作業支援ツールの一部を構成している。地域計画の作業は、ゾーニング、自動配置、コストと効果の計算、3Dモデル生成の4つのアクションに分かれており、地域計画のプロセスを加速し、単純化するために、地域管理者の都市計画の動きを計算に基づいたパターンにコード化することを試みている。本稿では、静岡県裾野市でのケーススタディをもとに、プロトタイプの実装について説明する。

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