都市計画報告集
Online ISSN : 2436-4460
欧州におけるサッカースタジアムの複合化の特徴
空間構成,開発経緯,開発主体に着目して
池内 亮太新 雄太後藤 智香子熊越 佑介近藤 早映吉村 有司小泉 秀樹
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2021 年 20 巻 2 号 p. 221-226

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抄録

欧州の複合化サッカースタジアムに共通する特徴を抽出することで,今後の日本でのスタジアム開発への知見を得ることを目的として,日本で得られたデータから欧州のサッカースタジアムの傾向と複合化サッカースタジアムの特徴,5つの事例のケーススタディから空間構成や開発経緯,開発主体についての実態を明らかにした.スタジアム開発は国内リーグや国際大会を契機に行われやすく,自動車でのアクセス性が重視されることがわかった.さらに複合化スタジアムは主に1990年以降,地域の再生の手段として,低未利用地に商業施設とオフィスを伴い開発され,公共交通でのアクセス性が重視されることが明らかとなった.また,クラブの開発意向に市による開発の動機が加わることで,官民連携での開発が行われやすい.一方,優勝回数の多い知名度のあるクラブで複合開発が行われやすいものの,開発は資金面でハードルが高いことが課題として挙げられる.日本では,地方自治体がスタジアムを所有する場合が多いので,地方自治体の計画のもと民間活力を生かした開発が行われる可能性は高い.

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© (c) 日本都市計画学会
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