2021 年 20 巻 2 号 p. 244-247
本研究は,事例調査を重ねることを通じ,人口減少時代の地方都市における移動図書館の価値を再定義し,その価値をさらに引き出すための方法論について検討するものである。「新型コロナウィルス感染症(COVID-19)」の世界的な流行を受け,日本でも文教施設が従来の役割を発揮できないことが各地でしばしば見られた。そのような中,移動図書館はどのように動いていたのか。筆者が担当する研究室では,移動図書館を実施する福岡県内の16自治体と熊本県北部地域の4自治体を対象に,COVID-19流行初期における移動図書館の実施状況について調査を行った。結果,図書館施設でのサービスが制限されている中でも,感染拡大に対する対策を講じた上で移動図書館が稼働していたことが明らかになった。