2022 年 21 巻 3 号 p. 297-303
本研究では、機械学習を想定した景観まちづくりの試論として、建物を主たる対象とした画像データをタグ付けする際の判断基準づくりを検証した。 まず、建築関連分野の研究レビューを行うとともに、次いで機械学習で使用する画像データの整理手法の体系化を試みた。 結論として、既存の研究蓄積に基づく画像データの分節化や模式化はタグ付けの判断基準として活用可能であることが示唆された。 その一方で、整理された各タグをそのまま機械学習に反映し運用したとしても、画像解像度や画像のゆがみなどの諸事情でうまく学習されないことも危惧された。 この点に関しては筆者の進めてきた以前の研究結果で見出された課題である。 ただし、判定率が下がった理由が、細分化した分類によるとしても、追跡可能な小分類のタグをメタデータ内に付与することは意味があるだろう。例えば、判定精度を高めるために画像データの仕分けを大分類として統合したとしても、状況にあわせて小分類に復元することが可能だからである。 今後は、機械学習の実践の中でタグ付けの良し悪しを試行錯誤しながら、その妥当性について更に検証する必要があろう。