2022 年 21 巻 3 号 p. 315-320
新型コロナウィルス感染症による人々の行動変化の分析は,今後のパンデミック対策の立案に有用となる.先行研究では「行動弾性図」を利用して,この行動変化を分析した例がある.しかし,その研究は紙面調査に基づいており,より詳細な時空間単位での行動弾性図を利用した分析は不十分である.本研究はモバイル空間統計を利用して,中国九州地方の6つの繁華街の夜間の滞在人口の新型コロナによる変化を,行動弾性図を利用して比較分析する.女性や15-19歳の若年層の滞在人口が大きく減少していることが確認された.また,20代の減少率は天神が博多よりも大きいが,30代以上は博多が天神よりも大きいことなど地区による変化の特徴も確認された.