2025 年 23 巻 4 号 p. 537-
本研究では渋谷駅中心地区における高層複合施設を対象として、一時滞在施設における課題を整理することを目的とする。課題は次の13に整理された。(1)発災直後の方針、(2)初動対応者の配置、(3)移動経路の安全性、(4)トイレ対応、(5)室内環境、(6)滞在者管理、(7)気候に伴う安全性、(8)対応人員確保、(9)利用空間の確保、(10)備蓄倉庫の運用、(11)トイレキャパシティ、(12)ゴミ処理、(13)管理人員不足時の運営。本研究の成果により、高層複合施設特有の一時滞在施設の対策の難しさを明らかにすることができた。施設の対策を促進するためには、取り組みの評価やインセンティブに加えて、対策のハードルを下げる仕組みが必要である。