都市計画による市街地の水害対策の一施策として、住宅の高床化など市街地の耐水化が存在する。その推進の上では、費用便益費などに基づく客観的な合理性が求められるが、その分析手法は曖昧となっている。そこで本研究では、市街地耐水化の効果を予測するシミュレータを構築し、2つの地区を例に適用した上で、シミュレータの限界の検証を行った。結果、現在得られるデータに基づく費用便益分析手法を提示できたが、そこでは耐水化住宅の性能や、浸水の頻度や浸水深などデータの不足による限界も大きかった。今後は、建築分野や河川・土木分野の貢献によるデータ拡充が求められるほか、地区の水害対策について、費用便益分析以外も網羅した、分野横断的かつ統合的なアプローチが重要となる。