2025 年 23 巻 4 号 p. 558-
近年、公園や道路の再開発・活用が盛んに行われており、個々の事例に関する知見は多く蓄積されている一方、個々の事例にとどまらず、複数の公共空間を統合することが重要であると考える。公共空間の再整備・活用を、個々の事業ではなく、ある地区内で公共空間群を一体的に計画・実装させる手法・戦略を先進事例である岡崎市の乙川リバーフロント地区を対象に、明らかにすることを本研究の目的とする。結論として、まず公共投資の視点を変換したことが公共空間群を連携させるために大きく関与したことが明らかになった。その後、行政計画を実現させるために、地域の実践を反映したQURUWA戦略を策定するプロセスにおいて、専門家・市民・行政がそれぞれの力を発揮できる環境を整備したことがハード面だけでなくソフト面でも公共空間を連携させた大きな要因である。これらの要素が、この地域の公共空間をつなぐ戦略の鍵となった。