本稿の目的は、社会の価値観の変化に対応した新しい価値をまちづくりに見出すことである。(シリーズ第8稿)本研究では、福岡市博多湾で湿地の環境保全に取り組む市民団体「ウエットランドフォーラム」を取り上げ、その実践者にインタビュー調査を行い、7つのまちづくりの新たな価値が同定された。 博多湾の自然環境は開発の影響を受けながらも、変化する環境に合わせて、希少種を含む豊かな生態系が成立している。ウエットランドフォーラムは、博多湾に飛来した渡り鳥が国境を越えて導くスケールアップを利用して国際的なネットワークとつながり、湿地の自然環境を子どもに紹介し、自然環境の重要性を多言語で伝え、共感を呼び起こすことで、自然が私たちや都市をデザインしていることを伝えている。