2025 年 23 巻 4 号 p. 664-
本研究は、東京都の都市再生特別地区における国際競争力強化の実態と課題を明らかにすることを目的とし、国家戦略特区制度導入前後の公共貢献の変化を比較し、特定の分野で国際競争力強化に資する貢献が増加していることを明らかにした。特にMICE(国際会議・展示会)関連施設の整備が進められているが、一部の施設で十分に活用されていない実態が明らかになった。また、施設規模の制約により、大規模国際会議の誘致が困難であることや、既存の大規模会場の利用が制限される問題が指摘された。一方、宿泊施設では外国人宿泊者割合が高く、国際競争力が一定程度確保されているが、カンファレンス施設との連携は限定的であり、さらなる強化が求められる。今後は都市再生特別地区間の連携を深め、より戦略的な公共貢献の運用を推進し、国際競争力を高めるための統合的な施策が必要である。