賃借人の継続居住のための、ワシントンDCの賃借人購入機会法(TOPA)及びサンフランシスコのコミュニティ購入機会法(COPA)に関する調査分析から言えることは、次のことである。(1) TOPAの目的のうち、賃借人の立退き阻止及び交渉力強化、アフォーダブル賃貸住宅の維持、賃借人協会設立の奨励は、ある程度達成されているが、住宅所有権の創出は、近年の住宅価格上昇により極めて達成が困難である。(2) COPAは、住宅価格高騰のため、賃貸住宅のままに限定されているが、低中所得者の継続居住が維持される仕組みが組み込まれている。(3) 社会的合意に基づき賃貸住宅所有者の経済活動の自由を一部制約するとともに、賃借人の教育、組織化、リーダー育成確保、また、専門家などの支援が必要である。(4)修繕に関して公的に支援し、賃貸集合住宅の売買を減らすことが重要である。