2006 年 5 巻 2 号 p. 69-76
本稿は、以下の通りにまとめることができる。(1)わが国の道路交通事故を歴史的に考察すると、自動車走行は道路容量に基づいて規制誘導しなければならなかった時期がすでに到来していたと思われる。(2)道路交通に係る交通安全基本計画の考察からは、第一次交通安全基本計画が、運転者をはじめ国民の安全意識を高揚させることに成功して、事故の減少に大きな成果を上げた。第八次基本計画は、「交通事故のない社会」や「人優先の安全思想」、「交通弱者への思いやり」などを加えた画期的な方針群を持っている。この基本計画は『安全問題は人権の問題』であると表明できる内容を持っていることが分かった。