TMO における人材の基盤の弱さが日本で言われている。本研究の目的は中心市街地活性化におけるタウンセンターマネージャーの雇用と能力について明らかにすることであり、先進事例であるイギリスTCM の事例を調査した。重要であることは3 点。関係者の間での合意形成と焦点を絞った面接が採用の鍵を握ること。マネジメントとコミュニケーションのスキルがタウンセンターマネージャーには必須であること。さまざまな能力を備えた人材が集まる基盤が望ましいこと。これらを踏まえて、現在のわが国を考察した。
1950年代開発された社会地域分析は、都市社会を理解するための良い方法であるが、都市計画や他の政策決定においては、必ずしも多く応用されているとは言えない。その理由は、伝統的な統計手法の限界および結果の可視化の困難さにあると考えられる。本研究は、非線形である自己組織化マップ(SOM)および地理情報システム(GIS)の手法を用いて、国勢調査のデータを分析し、社会地域を析出する方法を提案する。ケーススタディ地域別府市を対象に、地理的位置関係の情報を含まない86 個の変数を選び、SOM によるクラスタリングを行った。その結果をGIS で表示した結果、日本における社会地域の存在を確認した。
本研究は伊勢河崎を取り上げ、問屋街と勢田川の港町という歴史や文化などの文化環境を活かしたまちづくりと勢田川の流域管理の特性や相互の関連性について把握することを目的とした。その結果から,伊勢河崎では、これら2 つの一見したところ異質な活動は、勢田川という共通した地域資源に深く関わっており、それぞれ調和を保ちながら推進される必要があることがわかる。またこのことにより、伊勢河崎の歴史や文化を活かしたまちづくりだけではなく、勢田川の河川改修や水質浄化を中心とした流域管理が観光資源を生み出す可能性があるといえる。
本研究は、通勤トリップ長をより削減させることができる各ゾーンの住居及び事業所等の立地量を同時に算定できる問題の定式化を試みたものである。本研究においては、実際の通勤交通行動としてのプリファレンス曲線を組み込んだ非線形最適化問題として定式化を行った。その結果、実際の通勤交通行動の下で、通勤交通トリップ長をより削減することができる職住分布について考察することができた。本研究においては、都市規模あるいはCBD の規模、位置等の相違によって通勤トリップ長を削減する職住分布構造がどのように異なるかについても考察するため、北海道における2つの都市(札幌市及び函館市)を対象に実証的な考察を試みた。
京都桂川の歴史的頭首工である一の井堰を親水空間として検証することが本研究の目的である。平日休日1日ずつ、4季にわたり来訪者の利用実態を調査するとともに、堰空間の分析を行った。結果として、堰への入込みの少なさ、両岸からアクセス容易な場所への利用の集中、親水活動の相対的な多さといった利用の特徴が明らかとなった。さらに、構造物から水面までの高さと、構造物横の水深が、水に直接触れる活動にとって鍵要因であることが考察された。
本研究は,トランジットモールの導入にともない歩行者が道路を横切る抵抗がどのように変化し,街路空間での移動がどの程度自由になるかを把握することを目的とする.トランジットモール社会実験が行われた沖縄県那覇市国際通りを事例とした.まず,歩行者の道路横断の様子を観察し,横断歩道以外の横断も考慮した現況の歩行者の横断をモデル化し,横断時間の期待値を算出した.一方でトランジットモール時の横断時間の期待値を理論モデルから算出した.この理論モデルの信頼性を現況への適用によって確認したうえで,トランジットモール導入の効果を計算したところ,横断時間の期待値が半分以下に減少することが明らかになった.
本稿は、以下の通りにまとめることができる。(1)わが国の道路交通事故を歴史的に考察すると、自動車走行は道路容量に基づいて規制誘導しなければならなかった時期がすでに到来していたと思われる。(2)道路交通に係る交通安全基本計画の考察からは、第一次交通安全基本計画が、運転者をはじめ国民の安全意識を高揚させることに成功して、事故の減少に大きな成果を上げた。第八次基本計画は、「交通事故のない社会」や「人優先の安全思想」、「交通弱者への思いやり」などを加えた画期的な方針群を持っている。この基本計画は『安全問題は人権の問題』であると表明できる内容を持っていることが分かった。
英国のまちづくり・環境NPO であるグラウンドワークによる主に社会的弱者を対象とした人材育成プログラムを紹介した。これらの取り組みは今後のわが国のNPO の活動分野として大いに参考になる。すなわち、グラウンドワークのように環境・まちづくり分野を活動のベースとしながら、そこで培われた技術や活動フィールドを活用して、「社会的排他」のような、複雑な社会的課題に複合的に対応していくことは、今後のわが国のまちづくりNPO の進むべき一つの方向性を示唆していると思われる。とくに、近年わが国においても若者の「ひきこもり」や「ニート」の問題が脚光をあびるようになってきたが、このような問題に対して、まちづくりNPO が如何に関わることができるか、その可能性も示唆している。
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