2010 年 9 巻 2 号 p. 58-63
近年,資源の有限性などの観点から,物質の投入・廃棄(フロー)の量を低水準に抑えるストック型社会への移行が求められている.建設分野における物質循環は大規模であり,この分野におけるフローの削減が環境負荷の削減に果たす役割は非常に大きい.建設分野におけるフロー部分の動向を理解する上で,社会的要因を踏まえた将来のストック需要量を把握する必要がある.そこで本研究では,都市構造物のうち人間活動が反映されやすいであろう建築物に着目し,建築物ストック需要量に影響を与える要因を整理すると同時に,異なった社会像を反映した複数のシナリオごとの建築物ストック需要量の将来推計を行う.結果として,シナリオごとの一人あたり建築物ストック需要量に10トン近くの差が生じることが確認された.