理学療法学
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昭和63年度学術助成研究論文
末梢性顔面神経麻痺に対する治療効果
下野 俊哉服部 紀子山本 隆博古川 良三
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1989 年 16 巻 2 号 p. 101-108

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抄録
末梢性顔面神経麻痺患者に対し,1)日常での愁訴について調査,2)病的共同運動の分析,3)EMG-biofeedback訓練による病的共同運動の改善を目的に本研究を行なった。
末梢性顔面神経麻痺患者84例に対する愁訴の調査では,顔面筋筋力低下と同様にさまざまな訴えがあった。特にその訴えは急性期や回復の不良な症例に多く見られた。また,病的共同運動は最も出現頻度の高い後遣症であり,特に口を運動することにより誘発される閉眼は多くの患者で問題になることが多かった。
これら病的共同運動を持つ9例に対し行なったEMG-biofeedback therapyでは,訓練後積分筋電図の減少と眼裂の狭小化の減少が認められ,このtherapyが病的共同運動の改善に効果があると思われた。
末梢性顔面神経麻痺に対する理学療法は顔面筋筋力の回復のみに着目するのではなく,病的共同運動など多様な臨床像を含めたアプローチが必要である。
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© 1989 公益社団法人 日本理学療法士協会
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