1996 年 23 巻 6 号 p. 365-370
片麻痺患者27名と健常者31名を対象に,超小型荷重変換器を用いて股関節外転トルクを測定し,最大歩行速度との関連性を検討した。体重と両側股外転筋力の関係では,高い正の相関を認めた。Brunnstrom stage別にみた外転トルクの比較では,III IVに比べV VIでトルクが高く差を認めた。歩行速度は健常者に比べIII IVは1/3,V VIではおよそ1/2の速度であった。またstage別にみた外転トルクと歩行速度の関係では,V VIで高い正の相関を認めた。以上のことから外転トルクが高ければ,患側下肢立脚時の骨盤の安定化により,健側下肢のスムーズな振り出しを可能にし,その結果歩行速度が速くなると考えられた。