理学療法学
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2001年度研究助成論文
日本人健康成人における下肢捻転角・回旋可動域の性差と年齢差,大腿脛骨角との関係
玉利 光太郎
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2002 年 29 巻 6 号 p. 199-

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抄録

下肢の捻転・回旋角度と変形性膝関節症および付随する膝内反・外反変形との間の関連が過去に研究されてきたが,両者の関連はいまだ不明である。もし両者に関連があるとすれば,膝内反・外反変形の性差が存在することから,下肢捻転・回旋角度にも性差が存在する必要がある。しかし下肢捻転・回旋角度の性差を検討した研究は少ない。本研究では,1)下肢捻転・回旋角度の性差,年齢差,2)下肢捻転・回旋角度と大腿脛骨角との間の相関,を検討することを目的とした。対象は,健常日本人男女性144人(若年群,中年群,老年群)であった。信頼性のある臨床的大腿骨・脛骨捻転角度計測法,および股関節・膝関節回旋角度計測法により,下肢捻転・回旋角度の計測を,デジタル傾斜計を用いて行った。統計は二元配置分散分析,ピアソン相関分析を用いた。分析の結果,下肢捻転・回旋角度に有意な性差が存在した(p<0.05)。また股関節回旋では有意な年齢差も確認された(p<0.05)。老年男性群と若年女性群において,大腿脛骨角と股・膝関節回旋との間に有意な相関を認めた(p<0.05)。本研究より,下肢捻転・回旋角度と変形性膝関節症および付随する膝内反・外反変形との間の関連が示唆された。

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© 2002 公益社団法人 日本理学療法士協会
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