理学療法学
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報告
不動期間の延長に伴うラット足関節可動域の制限因子の変化
―軟部組織(皮膚・筋)と関節構成体由来の制限因子について―
岡本 眞須美沖田 実加須屋 茜中野 治郎鍬塚 幸子西田 まどか友利 幸之介吉村 俊朗
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2004 年 31 巻 1 号 p. 36-42

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抄録
本研究では,関節可動域(ROM)の制限因子を皮膚と筋で構成される軟部組織とそれ以外の関節構成体に分け,これらが不動期間の延長に伴ってどう変化するのかを検討した。Wistar系雄ラット50匹を25匹ずつ実験群と対照群に分け,実験群は両側足関節を最大底面位で1,2,4,8,12週間(各5匹)ギプス固定した。そして,ギプス除去直後と皮膚切開後,下腿三頭筋切除後の足関節背面角度を測定し,ROM制限が各々の実験処置でどの程度改善するのかを割合で求めた。その結果,いずれの不動期間ともROM制限は皮膚切開によって10%程度改善するが,下腿三頭筋切除では不動1週後で80.5%,2週後で63.8%,4週後で54.7%,8週後で35.5%,12週後で25.4%改善した。したがって,ROMの制限因子としては,1ヶ月程度の不動期間では軟部組織の変化に由来した制限が優位で,不動期間が2〜3ヶ月におよぶと関節構成体の変化に由来した制限が優位になることが示唆された。
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© 2004 公益社団法人 日本理学療法士協会
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