2004 年 31 巻 5 号 p. 291-295
健常成人30名を対象に,下肢伸展挙上(SLR),大腿四頭筋セッテイング(QS)が内側広筋斜頭(VMO)の筋力増強トレーニングに適しているのか,各種目における筋放電を最大等尺性収縮時の筋放電で除して100を乗じた%MVC,外側広筋(VL)に対するVMOの比(VMO/VL比)から検討した。さらに,VMO/VL比の増大を目的として内転筋群に対して5,10kgの重錘を用いた抵抗を与え,その影響も調べた。SLRにおけるVMOの%MVCは最大でも10kgの重錘を用いた際の16%であり低値を示した。一方,QSにおける%MVCは60%を超えていた。SLRにおいては,内転筋群に抵抗を加えても,VMO/VL比に変化はみられなかった。しかし,QS時のVMO/VL比は抵抗により有意に増大し,SLRよりも有意に高値を示した。%MVC,VMO/VL比の両側面からVMOの筋力増強トレーニングとしてSLRよりもQSの方が有効であることが示唆された。