抄録
高齢者用バランスボード(BN)を使ったバランス機能評価法が,将来の転倒発生を予測可能かどうかについて検討を行った。対象は,調査から1年間の転倒発生について追跡調査した45名(平均年齢81.2 ± 6.4歳)であった。BNによるバランス機能評価は,BNの高さと保持時間によって4群(グレードI〜IV)に分類した。1年間の転倒は,定期的な問診及びカルテから調査した。その結果,BNによるバランス機能評価と転倒発生には有意な関連があった。また,転倒の有無を目的変数としたロジスティック回帰分析の結果は,BNグレードがIまたはIIである場合はIIIに比べて,またIIIである場合はIVに比べて約4倍転倒リスクが増加する結果であった。BNによるバランス機能評価は,前方視的な転倒ハイリスク者のスクリーニングとして簡易な評価法であることを示唆した。