抄録
本研究の目的は,自転車エルゴメーターによる高負荷短時間のペダリングトレーニングが下肢筋力,膝屈伸筋断面積,下肢のパフォーマンスに与える効用を検討することである。平均年齢が22.7 ± 3.3歳である健常学生11名(男性4名,女性7名)を対象とした。8週間のトレーニング前後に股,膝,足関節の筋力,大腿部の筋断面積,下肢のパフォーマンステストを行った。その結果,股伸展筋力,膝屈伸筋力,足底背屈筋力が有意に増加したが股関節外転筋力は変化しなかった。また,大腿四頭筋の筋断面積は有意に増加したが,ハムストリングスの筋断面積は有意な変化を示さなかった。ペダリング時の最大無酸素パワーは有意に増加した。筋力増加とペダリングパワーの増加により下肢のパフォーマンス(片脚幅跳びの距離,side hop test,片脚段差昇降時間,8の字跳躍時間)の改善が見られた。これらの結果より,高負荷でのペダリングトレーニングは,等速性筋力を増加させるOKCトレーニング的特性と下肢のパフォーマンスを改善させるCKCトレーニング的特性を兼ね備えたトレーニングであることが示唆された。