理学療法学
Online ISSN : 2189-602X
Print ISSN : 0289-3770
ISSN-L : 0289-3770
研究論文
運動器疾患に対するストレッチングの効果
―システマティックレビューとメタアナリシスによる検討―
森山 英樹増子 潤金村 尚彦木藤 伸宏小澤 淳也今北 英高高栁 清美伊藤 俊一磯崎 弘司出家 正隆
著者情報
ジャーナル フリー

2011 年 38 巻 1 号 p. 1-9

詳細
抄録

【目的】本研究の目的は,理学療法分野での運動器疾患ならびに症状を対象としたストレッチング単独の有用性や効果を検証することである。【方法】関連する論文を文献データベースにて検索した。収集した論文の質的評価を行い,メタアナリシスあるいは効果量か95%信頼区間により検討した。【結果】研究選択の適格基準に合致した臨床試験25編が抽出された。足関節背屈制限,肩関節周囲炎,腰痛,変形性膝関節症,ハムストリングス損傷,足底筋膜炎,頸部痛,線維筋痛症に対するストレッチングの有効性が示され,膝関節屈曲拘縮と脳卒中後の上肢障害の改善効果は見出せなかった。【結論】現時点での運動器障害に対するストレッチングの適応のエビデンスを提供した。一方,本結果では理学療法分野でストレッチングの対象となる機能障害が十分に網羅されていない。ストレッチングは普遍的治療であるからこそ,その有用性や効果を今後実証する必要がある。

著者関連情報
© 2011 公益社団法人 日本理学療法士協会
次の記事
feedback
Top