理学療法学
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平成25年度研究助成報告書
脳卒中患者に対する二重課題トレーニングの効果は脳機能障害の違いによる影響を受けるのか?
井上 優原田 和宏佐藤 ゆかり樋野 稔夫
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2016 年 43 巻 2 号 p. 158-159

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抄録
本研究の目的は,二重課題処理能力,転倒リスク,転倒発生率に対する二重課題トレーニング(Dual-task training:以下,DTT)の効果に与える脳機能障害の影響を検証することである。本研究に参加した脳卒中患者は18 名で,DTT 実施後,Dynamic gait index(以下,DGI)得点は有意に改善し,転倒リスクが軽減する傾向が示された。前頭葉機能はFrontal assessment battery,注意機能はTrail making test part A とpart B の差分により評価し,DGI 得点変化量との関連性を相関分析により検証した。その結果,両者ともに有意な相関関係は示さなかった。この結果は,加齢や脳の損傷により生じた脳機能障害の程度に影響を受けずDTT の効果が得られることを示唆するものであり,DTT 導入に対する基礎資料として有用な結果と推察された。
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© 2016 公益社団法人 日本理学療法士協会
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