理学療法学
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43 巻, 2 号
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研究論文(原著)
  • ─大規模データによる検討─
    土井 剛彦, 牧迫 飛雄馬, 堤本 広大, 中窪  翔, 鈴木 隆雄, 島田 裕之
    2016 年 43 巻 2 号 p. 75-81
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/04/20
    [早期公開] 公開日: 2016/01/07
    ジャーナル フリー
    【目的】高齢者における歩行時の体幹加速度から得られる指標に対し,指標間の比較,年代間の比較,転倒との関係性について明らかにすることとした。【方法】地域在住高齢者989名(平均年齢:73.6歳)を対象に,歩行計測ならびに転倒歴を含む基本属性に関する聴取を行った。歩行計測には3軸加速度センサを用い,歩行時の体幹加速度から自己相関係数(auto correlation:以下,AC)とharmonic ratio(以下,HR)を算出した。【結果】主成分分析よりACとHRは各々独立した分類がなされ,AC,HR ともに80歳以上での低下が顕著であり(p < 0.05)。どの方向のHRも転倒と関連していたが,ACにおいては垂直方向のみ関連した(p < 0.05)。【結論】高齢者の歩行時の体幹加速度から得られるACとHRは異なる評価指標として活用できる可能性が示唆され,いずれも加齢および転倒と関連する評価指標としての有用性が示された。
  • 小島 翔, 宮口 翔太, 小丹 晋一, 桐本 光, 田巻 弘之, 大西 秀明
    2016 年 43 巻 2 号 p. 82-89
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/04/20
    [早期公開] 公開日: 2016/01/30
    ジャーナル フリー
    【目的】本研究の目的は,末梢電気刺激による求心性抑制が二連発磁気刺激による短間隔皮質内抑制および皮質内促通に及ぼす影響を明らかにすることとした。【方法】対象は健常成人12 名であった。磁気刺激による運動誘発電位(Motor evoked potentials;MEP)の記録条件は,二連発磁気刺激の2 条件(短間隔皮質内性抑制,皮質内促通)および求心性抑制の2 条件(短潜時求心性抑制,長潜時求心性抑制),二連発磁気刺激および求心性抑制を組み合わせた4 条件に単発磁気刺激条件を加えた合計9 条件として,各条件で得られたMEP 振幅値を比較した。【結果】短潜時求心性抑制は短間隔皮質内抑制および皮質内促通に影響を及ぼさなかった。一方,長潜時求心性抑制は短間隔皮質内抑制に影響を及ぼさないが,皮質内促通を有意に減弱させた(p<0.01)。【結論】長潜時求心性抑制は皮質内の促通回路に影響を及ぼす可能性が示唆された。
  • 有田 真己, 万行 里佳, 岩井 浩一
    2016 年 43 巻 2 号 p. 90-97
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/04/20
    [早期公開] 公開日: 2016/02/29
    ジャーナル フリー
    【目的】施設および在宅での運動を想定した場合,それぞれ実施する自信の差を運動種目別に明らかにし,差の大きさを効果量により判定する。さらに,各運動種目を実施する自信と行動の予測因子である自己効力感(以下,SE)との関連について明らかにする。【対象】要支援・要介護者114 名を対象とした。【方法】施設および在宅での運動を想定した場合,各運動種目を実施する自信について5 件法で調査した。また,在宅運動SE 尺度(以下,HEBS)を用いて,SE の程度を得点化した。【結果】在宅を想定した場合における運動の自信は施設と比較し有意に低く,効果量は高値を示した。各運動種目すべてにおいても同じく有意に低い結果となった。運動種目別の自信の量とHEBS 得点は有意な正の相関を示した。【結語】受け入れやすさおよび自信といった心理指標を用いることで,より対象者に適した運動内容の作成へとつながることが示唆される。
  • 加藤 倫卓, 森 雄司, 光地 海人, 川瀨 翔太, 千﨑 史顕, 角谷 星那, 鬼頭 和也, 内藤 裕治, 池戸 利行, 久保 明, 河 ...
    2016 年 43 巻 2 号 p. 98-106
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/04/20
    [早期公開] 公開日: 2016/03/07
    ジャーナル フリー
    【目的】Stanford A 型急性大動脈解離(以下,AAAD)患者において,術後の多臓器不全の評価が,術後早期のリハビリテーション(以下,リハ)の目標達成(術後15日以内の100 m 歩行の自立)を予測できるか否かを検討した。【方法】人工血管置換術を受けた180例のAAAD 患者を対象とした。術後の多臓器不全はsequential organ failure assessment(以下,SOFAスコア)を用いて評価し,SOFAスコアと術後早期のリハの目標達成の可否を調査した。ロジスティック回帰分析とROC曲線を使用して,術後早期のリハの目標達成を予測する要因を抽出し,カットオフ値を求めた。【結果】術後1日目のSOFAスコアは術後早期のリハの目標達成を予測し(オッズ比2.01,95% CI1.32–3.06,p<0.01),カットオフ値は6.5(AUC0.83,p<0.01)であった。【結論】AAAD患者において術後のSOFAスコアは,術後早期のリハの目標達成を予測する指標であり,術後1日目のカットオフ値は6.5であった。
  • 葉 清規, 対馬 栄輝, 村瀬 正昭, 大石 陽介
    2016 年 43 巻 2 号 p. 107-117
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/04/20
    [早期公開] 公開日: 2016/03/08
    ジャーナル フリー
    【目的】本研究目的は,頸椎変性疾患患者に対する,McKenzie法に基づく運動療法の効果およびそれに関連する因子の調査である。【方法】対象は,頸椎変性疾患52例である。McKenzie法のメカニカル評価に従い,症状に改善が得られる運動方向を基にした運動療法を実施した。3 ヵ月後まで頸部自動ROM,NDI,JOACMEQ,VAS,SF-8 を測定し,治療経過の差と経過に関連する因子について解析した。【結果】1 週間後よりROM,VAS,1 ヵ月後よりNDI,身体的健康度の改善が得られた。頸部症状にデスクワーク,頸椎アライメントが関連し,伸展ROMの経過に薬物療法が影響していた。【結論】頸椎変性疾患患者に対して,McKenzie法に基づく運動療法により,1 ヵ月後に,症状,所見,日常生活機能,健康関連QOLの改善が得られる。また不良姿勢が頸部障害の要因の可能性があり,必要に応じて薬物療法を併用することが望ましい。
  • ─前向きコホート研究─
    宮田 一弘, 小泉 雅樹, 岩井 優香, 小林 正和, 臼田 滋
    2016 年 43 巻 2 号 p. 118-126
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/04/20
    [早期公開] 公開日: 2016/03/09
    ジャーナル フリー
    【目的】Balance Evaluation Systems Test(以下,BESTest),Mini-BESTest,Brief-BESTest およびBerg Balance Scale(以下,BBS)の得点分布の特性と転倒予測精度を比較することである。【方法】57名の入院患者(脳卒中者と骨折者)を対象とした。退院時に3 つのBESTest とBBS を測定し,退院後6 ヵ月間の転倒の有無を調査した。評価指標の得点分布と転倒予測精度を検討した。【結果】BBS のみに天井効果を認め,歪度からBBS の分布に偏りを認めた。転倒予測精度について,Area under the curve と感度でMini-BESTest が最も高く,特異度ではBBS が最も高かった。【結論】Mini-BESTest は,その得点分布が比較的均一で,中等度の転倒予測精度を有し,動作課題項目も少ないことから有用性の高い評価であることが示唆された。
  • 四方 公康, 岡﨑 信也
    2016 年 43 巻 2 号 p. 127-135
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/04/20
    [早期公開] 公開日: 2016/03/11
    ジャーナル フリー
    【目的】本研究では,薬原性錐体外路症状を伴う慢性統合失調症者への環境調整を併用した運動療法を行い,その効果の持続性を検討した。【対象】精神科病院閉鎖病棟入院中の薬原性錐体外路症状を合併した慢性統合失調症者24名とした。【方法】介入期として動作確認表の作成とビデオカメラの使用による環境調整を併用した運動療法を4週間(40分/回,週2回,計8回)実施し,その後12週間の効果判定期を設けた。【結果】運動療法終了時には,陰性症状および身体機能に有意な改善を認めたが,運動療法終了後8週までにはそれぞれ運動療法前の値まで低下した。【結論】本研究から,環境調整を併用した運動療法が,薬原性錐体外路症状を伴う慢性統合失調症者の陰性症状および身体機能において,運動療法介入効果および8週で基準値の数値に戻ることが示唆された。
  • 阿部 千恵, 村上 賢一, 藤澤 宏幸
    2016 年 43 巻 2 号 p. 136-142
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/04/20
    [早期公開] 公開日: 2016/03/12
    ジャーナル フリー
    【目的】急性期脳卒中患者の筋厚を測定し,その経時的変化について検討した。【方法】発症後24時間以内の初発脳卒中患者の麻痺側,非麻痺側の筋厚(外側広筋(以下,VL),前脛骨筋(以下,TA)),周径(大腿周径5 cm,大腿周径10 cm,下腿最大周径)を1病日から連続して7病日,その後14,21,28病日に測定した。【結果】VL,TA の筋厚減少は両側で2病日から生じ, 28病日まで減少が継続した。二元配置分散分析の結果,病日と測定肢の間に交互作用は認められなかったが,VL,TA は病日において主効果が認められた。周径では,病日と測定肢の間に交互作用は認められなかった。大腿周径はともに病日と測定肢において主効果が認められ,下腿周径は病日に主効果が認められた。【結語】急性期脳卒中患者では,廃用症候群が非常に早期から生じ,麻痺側・非麻痺側両方に筋萎縮をもたらしている可能性が示唆された。
平成25年度研究助成報告書
  • ─多施設共同による標準的評価の構築をめざして─
    三浦 祐司, 上岡 裕美子, 飯島 弥生, 山口 普己, 中里 和浩, 鈴木 愛, 大曽根 賢一, 斉藤 秀之, 有田 元英
    2016 年 43 巻 2 号 p. 144-145
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/04/20
    ジャーナル フリー
    本研究は,昨年,信頼性と妥当性を検証し,再検討を必要とした項目の信頼性の検証を行い,内容妥当性から再構成した改訂版標準的評価票Ver.1.0(以下,Ver.1.0)を作成した。Ver.1.0 を用い訪問リハの介入による生活機能の変化の実態を明らかにしVer.1.0 の有効性検証を行った。結果は,調査開始時と3 ヵ月後,調査開始時と6 ヵ月後においてベッド周囲基本動作能力評価,Function Independence Measure(以下,FIM)運動,FIM 合計,参加_ 社会参加,参加_合計,Life-Space Assessment, Canadian Occupational Performance Measure 遂行度において有意差が認められた。発症1 年以内の利用者であれば生活期リハの効果を測定するツールとして有用である。ただし,生活関連活動における参加の評価および介護状況を含めた生活動作評価に関しては再検証が必要である。経済的問題により凍結していたアプリケーション開発は,FileMaker Pro13を用いたデータベース作成方法を検討している。
  • 神谷 健太郎, 齋藤 洋, 米澤 隆介, 濱崎 伸明, 田中 伸弥, 遠藤 佳子, 松沢 良太, 若梅 一樹, 野崎 康平, 前川 恵美, ...
    2016 年 43 巻 2 号 p. 146-147
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/04/20
    ジャーナル フリー
    本研究は,心不全の急性増悪によって入院した症例に対する急性期の集中的な運動療法の効果を多施設で検証することを主目的としている。本中間報告では,介入試験におけるプライマリーエンドポイントを決定することを目的とし,急性心不全患者の運動機能の特徴をヒストグラムで,急性期の運動療法介入に対する運動機能指標の反応性を標準化反応平均(SRM)で評価した。対象は急性心不全で入院した患者180名(年齢69 ± 13歳)で,入院後7日以内と退院時に運動機能評価を施行した。運動機能は,足関節背屈可動域,片脚立位時間,short physical performance battery(以下,SPPB),10 m 快適歩行速度を評価した。これらの指標の中でもっとも反応性が大きかったのは10 m 快適歩行速度であり,SPPB は中程度の反応性を示した。バランス機能指標やSPPB においては,高齢者であっても初期評価の時点で天井効果を示す症例が多く認められた。これらの結果をもとに介入試験のプライマリーエンドポイントを設定し,平成26年度には多施設前向き介入試験を施行する予定である。
  • ─理学療法診断のための多施設共同前向きコホート研究─
    梅原 拓也, 田中 亮, 永尾 進, 富山 大輔, 川畑 祐貴, 長野 吉宏, 木本 優美
    2016 年 43 巻 2 号 p. 148-149
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/04/20
    ジャーナル フリー
    【目的】本研究の目的は,大腿骨近位部骨折患者の術後1年の日常生活活動(以下,ADL)に影響を及ぼすと考えられる入院中の身体機能および歩行能力を調べ,ADL 低下を予測するためのカットオフ値を算出することであった。【方法】本研究のデザインは,多施設共同前向きコホート研究であった。退院後のADL(Barthel index)予測因子は,術後の疼痛(以下,VAS),歩行様式,30–second chair-stand test(以下,CS-30),認知機能,および術前後のADL とした。変数ごとにROC 曲線を用いて尤度比が最大となるカットオフ値を求め,ADL 低下の事後確率を算出した。【結果】2 施設37 名からデータが収集された。術後1 年におけるADL 低下の事前確率は56.8%であった。ADL 低下の予測因子は,術後2 週のCS-30,術後3 週の歩行自立度であった。これらのカットオフ値・事後確率は,術後2 週のCS-30 で0 回以下・75.0%であり,術後3 週の歩行自立度でBI が5 点以下・87.0%であった。【結論】大腿骨近位部骨折患者の入院中に測定された術後2 週のCS-30 および術後3 週の歩行自立度から1 年後のADL 低下を予測できる可能性が示唆された。
  • ─糖尿病理学療法の新規分野開拓をめざして─
    村松 憲
    2016 年 43 巻 2 号 p. 150-151
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/04/20
    ジャーナル フリー
    最近,我々は1 型・2 型糖尿病モデルラットの内側腓腹筋を支配する運動ニューロンが減少することを発見したが,その予防法については不明である。そこで,2 型糖尿病モデルラットであるOtsuka Long-Evans Tokushima Fatty Rat(以下,OLETF ラット)と,その健常対照群であるLong-Evans Tokushima Otsuka Rat(以下,LETO ラット)を対象にトレッドミルを用いた20 週間の運動療法が運動ニューロンの減少を予防可能であるか調査した。その結果,通常飼育のみを行ったOLETF ラットの内側腓腹筋を支配する運動ニューロンの数はLETO ラットに比べて減少する一方,運動療法を行ったOLETF ラットはLETO ラットと差がなかった。以上の結果から運動療法には糖尿病性ニューロパチー(以下,DN)に関連する運動ニューロン数の減少を予防する効果がある可能性が示された。
  • ─パス解析による検討─
    加茂 智彦, 西田 裕介, 若林 秀隆, 石井 秀明, 髙山 慶太
    2016 年 43 巻 2 号 p. 152-153
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/04/20
    ジャーナル フリー
    【目的】高齢者にみられる低栄養は生理的機能の低下とともに身体機能の低下を引き起こす。このようにリハビリと栄養は相互関係になっており,切っても切り離せない関係である。しかし,リハビリの視点から栄養を捉えた研究は少ないのが現状である。そこで本研究では栄養状態がADL に直接与える影響と身体機能や認知機能を介して,間接的に与える影響をパス解析を用いて検討していく。【方法】対象は地域在住虚弱高齢者178 名と施設入所高齢者184 名の計362 名とした。測定項目は,年齢,BI,MMSE,簡易栄養状態評価表(以下,MNA),SPPB(Short Physical Performance Battery),四肢骨格筋肉量(以下,AMM)とした。四肢骨格筋肉量は生体電気インピーダンス法,NIRS 法にて測定した。【結果】地域在住高齢者の年齢は84.7 ± 7.6 歳,身長は149.3 ± 7.7 cm,体重は46.9 ± 9.1 kg であった。MNA がBI に直接影響を与える指標である標準化直接効果は0.22 であった。また,MNA がSPPB を介し,BI に間接的に与える影響を示す指標である標準化間接効果は0.33 であった。MNA がBI に直接与える影響と,SPPB を介して影響を与える間接的影響を総合した標準化総合効果は0.55 であった。施設入所者の年齢は86.6 ± 7.6 歳,身長は151.1 ± 6.3 cm,体重は43.0 ± 7.8 kg であった。MNA のBI に対する標準化直接効果は0.23 であった。また,MNA のBI に対する標準化間接効果は0.42 であった。MNA のBI に対する標準化総合効果は0.66 であった。【考察】地域在住高齢者,施設入所高齢者ともに栄養状態がADL 能力に直接与える影響よりも,身体機能を介して間接的に与える影響の方が大きいことが明らかになった。今後は理学療法においても栄養状態を考慮していく必要があると考えられる。
  • 石田 和人, 中島 宏樹, 玉越 敬悟, 高松 泰行
    2016 年 43 巻 2 号 p. 154-155
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/04/20
    ジャーナル フリー
    慢性拘束ストレス(以下,CRS)負荷による抑うつモデルラットを作成し,トレッドミル運動が抑うつ発症に及ぼす効果と樹状突起の形態変化に着目して検討した。ラットをCRS群,CRS 負荷後にトレッドミル運動を加える運動群,通常飼育群に分けた。ストレス負荷には1日3時間,21 日間連続で円筒(内径5 cm,長さ20 cm)内に閉じこめる拘束ストレスを用いた。運動群はCRS 負荷直後に30 分間のトレッドミル運動を行った。スクロース消費テストおよび強制水泳テストで抑うつ行動を評価した。最後に脳組織を取りだしGolgi-Cox 染色法に供して樹状突起の解析を行い,副腎を採取しその重量を算出した。21 日間のCRS により,抑うつ行動を示し,海馬歯状回顆粒細胞層の樹状突起退縮を認めた。また,副腎重量の増加も認められた。これに対しトレッドミル運動を実施すると,抑うつ行動がみられず,樹状突起の退縮が抑制されることが示された。以上より,運動が抑うつの予防に寄与する効果を有することが示された。
  • 下井 俊典, 石井 雅子
    2016 年 43 巻 2 号 p. 156-157
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/04/20
    ジャーナル フリー
    【目的】本研究では,運動課題中の筋電位および筋出力様態からシャルコー・マリー・トゥース病(以下,CMT)患者の筋疲労特性を明らかにすることを目的とした。【方法】対象は18 名のCMT 患者である。筋疲労課題は,右肘屈曲の等尺性収縮課題とした。同課題の遂行時間および課題中の筋出力を測定するとともに,表面筋電計を用いて同課題中の筋電位を対象側の上腕二頭筋から導出した。同課題中における中央パワー周波数(以下,MdPF),平均振幅(以下,RMS),神経筋効率(以下,NME)の変化様態を検討した。【結果】18 名の対象のうち17 名の筋疲労課題中の筋出力,MdPF が低下した。対して18 名中6 名について,他の12 名と比べて筋疲労課題中のRMS が有意に低下した(p <0.05)。課題遂行時間,自覚的疲労感,CMT 病型・性別・年齢などの属性についてはこの6名の対象と他の12名との間に統計学的に有意な差や偏りは認められなかった。【考察】一部のCMT 患者でMdPF の徐波化や筋出力の低下といった筋疲労所見が認められる一方で,RMS が低下する所見が認められた。その理由として運動単位の動員障がいが考えられる。
  • 井上 優, 原田 和宏, 佐藤 ゆかり, 樋野 稔夫
    2016 年 43 巻 2 号 p. 158-159
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/04/20
    ジャーナル フリー
    本研究の目的は,二重課題処理能力,転倒リスク,転倒発生率に対する二重課題トレーニング(Dual-task training:以下,DTT)の効果に与える脳機能障害の影響を検証することである。本研究に参加した脳卒中患者は18 名で,DTT 実施後,Dynamic gait index(以下,DGI)得点は有意に改善し,転倒リスクが軽減する傾向が示された。前頭葉機能はFrontal assessment battery,注意機能はTrail making test part A とpart B の差分により評価し,DGI 得点変化量との関連性を相関分析により検証した。その結果,両者ともに有意な相関関係は示さなかった。この結果は,加齢や脳の損傷により生じた脳機能障害の程度に影響を受けずDTT の効果が得られることを示唆するものであり,DTT 導入に対する基礎資料として有用な結果と推察された。
  • ―青年海外協力隊経験者への調査―
    知脇 希
    2016 年 43 巻 2 号 p. 160-161
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/04/20
    ジャーナル フリー
    青年海外協力隊PT・OT 帰国者に対しWEB調査を実施し,派遣の効果について分析した。帰国者639 名のうちURL を送付できたのは275 名,回答があったのは111 名であった。WEB 調査の結果,1 日患者数平均は8.1 名,勉強会実施は8 割,任国では交流を活発にしており,帰国後4 割がボランティア活動を実施していた。主観的評価の肯定的回答は「リハビリテーションの発展に寄与した」が4 割と低く,「任国と日本の相互理解を深めた」は8 割と高かった。勉強会開催数はこのふたつの評価と弱い相関が認められた。本研究から,ボランティア事業の目的は果たされている傾向にあり,友好親善で効果が高く,一部の主観的評価には,技術移転に関する勉強会開催数が関係していることが示唆された。
平成26年度研究助成報告書
講座 シリーズ「エビデンスに基づく理学療法 ─理学療法診療ガイドラインを読み解く─」
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