2020 年 47 巻 6 号 p. 540-550
【目的】本研究は,入院期高齢心不全患者における早期レジスタンストレーニング(resistance training:以下,RT)の安全性と実行可能性および身体機能への効果について検討することである。【方法】RT の適応基準,禁忌,除外基準を考慮した高齢心不全患者をRT 群とコントロール群との2 群に無作為割付けした。また,主要アウトカムを膝伸展筋力とし,副次アウトカムを快適歩行速度とSPPB とし,これらの介入前後と群間の差を比較した。【結果】膝伸展筋力と快適歩行速度は交互作用が有意であり,RT 群の方で改善が顕著であった。effect size は,RT 群の膝伸展筋力と快適歩行速度は中程度,RT 群のSPPB とコントロール群の膝伸展筋力,SPPB は小程度であった。【結論】入院高齢心不全患者において早期レジスタンストレーニングは適応,禁忌,除外を明確化し段階的な負荷量で漸増すれば安全かつ効果的に実行できることが示唆された。