2026 年 53 巻 4 号 p. 264-273
【目的】本研究は健常ビーグル犬のトレッドミル歩行における足根関節角度と腓腹筋内側頭(Gastrocnemius Medialis:以下,GASM)および前脛骨筋(Tibialis Cranialis:以下,TC)の筋活動を同期計測し,歩行相に基づく正常参照データを提示することを目的とした。【方法】健常ビーグル犬6頭を対象に,一定速度(0.7 m/s)歩行中の足根関節角度と表面筋電図(Electromyogram:以下,EMG)を記録した。各歩行周期を0–100%に時間正規化し,歩行相別%EMG, 個体間波形類似性,筋活動ピーク発現位相を解析した。【結果】足根関節は荷重応答期に屈曲し,前遊脚期に最大伸展,遊脚前期に最大屈曲を示した。GASMは荷重応答期,TCは遊脚前期で最大活動を示し,両筋とも歩行相間で有意差を認めた(p<0.001)。個体間波形類似性は,足根関節角度r=0.88, GASM r=0.93, TC r=0.71であった。【結論】足根関節運動と下腿筋活動は,歩行相に依存した協調パターンを示した。本データは,犬の異常歩行評価および理学療法介入効果判定の基礎資料となる。