イノベーション・マネジメント
Online ISSN : 2433-6971
Print ISSN : 1349-2233
研究ノート
大学生の起業意思に関する調査レポート
―GUESSS2018調査結果における日本のサンプル分析―
玉井 由樹田路 則子鹿住 倫世藤村 まこと山田 裕美五十嵐 伸吾
著者情報
ジャーナル フリー HTML

2021 年 18 巻 p. 207-229

詳細
抄録

GUESSS 2018は、世界54カ国、3,191大学が参加して行われた、大学生の起業意識調査である。全体で208,636件の有効回答を集めている。日本では49大学・大学院が参加し、4,150件の有効回答を得た。

本調査レポートの目的は上記データを用いて、日本の大学生の起業意思の特徴を明らかにすることである。参加国全体と日本の集計結果を比較したところ、卒業直後および卒業5年後のキャリア選好においては、日本の学生は参加国全体よりも従業員となることを希望する傾向が強い。この傾向は日本の調査が開始された2011年から変わらぬ傾向となっている。専攻別にみると、工学、芸術学、商学・経営学で卒業5年後に創業者になるという起業意思を持つ学生の割合が高くなっており、男女別でみると男子学生の起業意思が高くなっている。家族との関係では、母親が自営業者の学生の起業意思が他の場合と比較して高くなっている。起業家活動に関する科目の履修率も調査を重ねるごとに高まっており、特に卒業直後に創業予定の学生において起業家教育科目を履修する割合が高くなっている。

それらを踏まえ、専攻の違い、大学所在地の違い、親の職業の違いによって、起業意思等の変数に差が生じているかどうかについて検討を行ったところ、各変数に有意に差が生じていることが明らかとなった。

著者関連情報
© 2021 法政大学イノベーション・マネジメント研究センター
前の記事 次の記事
feedback
Top