本研究は、2,269人のFacebookユーザーを対象としたアンケート調査を通じて、Facebookページへの参加による便益(快楽的便益、情報探索的便益、社会的便益、経済的便益)がネガティブ効果を抑制するのか、あるいは、促進するのか、また、ネガティブ効果はリレーションシップ(信頼)やロイヤルティ(推奨)に対してどのように影響するのかを検討する。ネガティブ効果は、Facebookページに対する情報過負荷、苛立ち、プライバシーへの懸念、後悔で測定した。分析の結果、次の知見が得られた。
・快楽的便益と情報探索的便益は、ネガティブ効果を抑制する。一方、社会的便益と経済的便益(10%有意水準)はネガティブ効果を促進する。
・満足は後悔に負の影響を及ぼす。
・ネガティブ効果の要因間には因果関係がある。
・プライバシーへの懸念は信頼に負の影響を及ぼす。しかしながら、後悔による信頼への影響、後悔による推奨への影響は有意ではなく、仮説は棄却された。
そこで、男女や「いいね!」意図の高低などの2群間で差異を検証するために、多母集団の同時分析を行った。
・「いいね!」意図、コメント意図、シェア意図が低い場合、後悔は信頼に負の影響を及ぼす。
・コメント意図が低い場合、また、女性の場合、後悔は推奨に負の影響を及ぼす。
これらの結果に基づいて、理論と実務に対するインプリケーションを述べる。
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