2025 年 22 巻 p. 273-289
成長の続くインフルエンサーマーケティングにおいて、企業からのスポンサーシップを受けたことを投稿内に開示することが義務付けられている。一方で、スポンサーシップを開示することによって、投稿の効果を抑制することがこれまでの先行研究で示されており、消費者保護の観点でスポンサーシップ開示の正の影響に関する研究知見が乏しい。本研究では、商業的意図を含む投稿であることが全面的に露見した場合に、スポンサーシップを開示することによる影響を明らかにすることを目的とした。情報源(メガ・マイクロ)と適合性に着目したシナリオ実験からデータを収集して、分散分析を用いて仮説検証を行った。分析の結果、マイクロインフルエンサーにおいて、(1)スポンサーシップを開示することにより、露見時の態度悪化が抑制されること、(2)適合性知覚が低ければ、スポンサーシップ非開示の場合に、露見時の態度悪化が促進されることなどが明らかとなった。本研究の意義は、商業的意図の全面的な露見時において、特定の情報源においてスポンサーシップ開示の効果を示したことである。