2001 年 16 巻 2 号 p. 77-82
目的 : ラット膝関節拘縮モデルを用い、滑膜の病理組織学的変化を観察することである。対象と方法 : 9週齢のWistar系雄ラット3匹の右膝関節を屈曲位で2週間ギプス固定し固定群とした。左膝関節は自由にし対照群とした。採取した膝関節をホルマリン固定した後、脱灰、パラフィン包埋し組織標本を作製した。染色はヘマトキシリン · エオジン染色を行い、光学顕微鏡下にて滑膜を観察した。結果 : 対照群と比べ固定群では滑膜細胞の萎縮、滑膜下層の線維化、微小血管の拡張とうっ血を認めた。結論 : 本研究の関節拘縮の滑膜における変化はギプス固定による二次的障害として考えられ、関節構成体である滑膜にも廃用性萎縮の概念が適用できる可能性が示唆された。