抄録
脳血管障害の理学療法は病型によってその早期対応を工夫する必要がある。特に梗塞では血圧の低下などによる病巣の拡がりに注意しなければならない。また,高齢者では廃用症候群の問題が大きいため,呼吸循環系や骨関節系などへの過負荷に注意しながら,早期から意識的に対処し,歩行補助具も積極的に活用する。歩行では,ヒトに特徴的に見られる姿勢反射あるいは荷重連鎖を背景にした適切な動作分析に基づく運動学習を図る。脳の傷害部位や程度によって機能障害やその回復の可能性は左右されることが考えられるため,プログラムは十分吟味する。高齢者のリハビリテーションは社会的要因に左右されやすく,長期入院にならないような努力が必要である。