2004 年 19 巻 1 号 p. 55-59
高齢者を対象に,既存のStep Testを一部改変した立位での反復ステップ運動によるパフォーマンステストModified Step Test(以下MST)を実施し,その信頼性および妥当性について検討した。高齢者51名を対象として,MST,膝伸展筋力,Timed Up and Go Test,歩行速度を測定した。MSTの課題は,静止立位から前方または側方に設置した台上にできるだけ速く一側の下肢を乗せ,再び元に戻すこととし,5回の反復所要時間を測定した。繰り返し測定した結果から級内相関係数を求めた結果,各方向におけるMSTの級内相関係数はr=0.88~0.96と高値を示した。また,MSTと筋力,歩行機能との間には,いずれの方向のMSTにおいても同程度の有意な相関関係が認められた。MSTは信頼性が高く,各測定条件によって有意差はなかった。MSTは高齢者における動的立位バランスについて,前後左右のいずれの方向に障害をきたしているかどうかをスクリーニングする指標となりうることが示唆された。