抄録
上下肢の敏捷性が最大歩行速度に及ぼす影響について検討するため,健常若年者22名を対象とし,最大歩行速度,最大タッピング,最大ステッピング,握力,脚力を測定した。上肢の敏捷性の指標である最大タッピングと下肢の敏捷性の指標である最大ステッピングとの間には有意な相関は見られなかった。最大歩行速度と有意な相関を示した測定項目は最大ステッピングおよび脚力であった(p<0.05)。重回帰分析を行った結果,最大歩行速度は最大ステッピングが有意な変数として採用された。上下肢の敏捷性には相関がなく,それぞれが独立していたことにより,敏捷性に関する能力は部位によって異なることが考えられる。したがって,敏捷性を評価するには上肢だけではなく,下肢についても考慮することが重要であると考えられる。最大ステッピングの速い人ほど,最大歩行速度も速かったため,最大ステッピングを測定することにより,最大歩行速度も予測可能なことが示唆された。