2006 年 21 巻 4 号 p. 393-397
短下肢装具を装着した慢性期脳卒中片麻痺者12名を対象に6分間歩行を施行し,歩行速度の相違が歩行能力ならびに歩行時エネルギー消費に及ぼす影響について検討した。最適および最速歩行において歩行距離・歩行速度・歩行時の酸素消費量(VO2)および心拍数(HR)を測定した。歩行時の運動エネルギー効率として1 mあたりのVO2とPhysiological Cost Index(PCI)を算出した。その結果,歩行距離・歩行速度・VO2およびHRは,最適歩行と比較して最速歩行において有意に高値を示した。また,最速歩行において1 mあたりのVO2は有意に低値を示したが,PCIは変化を認めなかった。これらより脳卒中片麻痺者において歩行速度により歩行時エネルギー消費が変化することから歩行時の運動エネルギー効率を考慮した歩行訓練の指導が必要であると考えられた。