2008 年 23 巻 5 号 p. 665-669
〔目的〕胸部あるいは腰部コルセットの圧迫による呼吸機能への影響を調べた。〔対象〕健常成人男性6名(28.2±5.3 [SE]歳)。〔方法〕締め付け圧を調整出来る胸部コルセットと腰部コルセットを別々に装着し,締め付け圧0 mmHg, 20 mmHg,40 mmHg, 60 mmHgの条件で肺気量分画を測定した。〔結果〕胸部コルセット装着は,締め付け圧が増加すると肺活量,予備呼気量,全肺気量は減少した。1回換気量も減少したが有意差はなく,呼吸数の増加で分時換気量が維持されていた。全肺気量,肺活量,予備呼気量,努力性肺活量の減少は胸部コルセット締め付け圧=40 mmHgからみられた。なお,残気量は締め付け圧に関係なく影響しなかった。一方,腰部コルセット装着は締め付け圧に関係なく予備呼気量を除く他の肺気量分画に影響しなかった。〔結語〕胸部コルセットを使用する場合は,コルセットが呼吸運動を抑制する危険性を考慮すべきである。