抄録
〔目的・対象〕今回我々は,HTLV-I associated Myelopathy(以下HAM)患者に対して外来リハビリテーション(以下リハビリ)を行った。HAMは,その病態から廃用症候群を惹起しやすく,意欲を持って継続実施できるホームエクササイズ(以下Home ex)の設定が必要であった。そこでHome exを従来から実施している筋力訓練期間と乗馬マシンでの運動期間とに分け,その効果を比較することを目的とした。〔方法〕ABAB型シングルケーススタディにより乗馬マシンを用いたHome exを操作導入期に実施し,基礎水準測定期には体幹・下肢筋力訓練を用いた。〔結果〕評価項目の座位側方Reach,Functional Reach Test,重心動揺検査において操作導入期の改善が認められた。〔結語〕乗馬マシンでのHome exにより姿勢バランス向上を認め,主目標である家事動作,伝い歩きの向上を認めた。HAM外来患者へのリハビリの際,患者を取り巻く家庭環境等に合わせた具体的なHome exの設定が重要であり,これらが緩徐進行性で難治性神経疾患であるHAMに対しても,機能改善が図れることが示唆された。