抄録
〔目的〕脊柱後彎が胸郭運動に与える影響を明らかにするため,前かがみ座位による脊柱後彎位で,3次元動作解析装置を用いて吸気に伴う胸郭の運動を測定した。〔対象〕対象は健常成人14名とした。〔方法〕深呼吸時の胸郭運動を体表に貼付したマーカーの変位量にて測定し,直立座位と前かがみ座位の2姿勢の比較を行った。〔結果〕その結果,腹側の上位胸郭の運動が直立座位に比べ前かがみ座位で有意に少なかった。〔結語〕脊柱後彎位では,上位胸郭の吸気に伴う前上方への運動が制限されることが明らかになり,換気障害の1要因になりえることが示唆された。