2010 年 25 巻 4 号 p. 579-582
〔目的〕荷物挙上動作により,どの程度の上肢挙上角で腰椎前彎角が増加するのかについて検討した。〔対象〕健常成人女性14名,平均年齢は21.7±3.8歳であった。〔方法〕両上肢で,2 kgの重りを入れた箱を把持し,上肢を0°,60°,90°,120°挙上した姿勢での胸椎後彎角および腰椎前彎角を測定し,各挙上肢位で比較した。〔結果〕腰椎前彎角は,上肢挙上角90°以上で有意な増加が認められ,胸椎後彎角は上肢挙上角90°以上で有意な減少が認められた。〔結語〕荷物挙上動作の際に上肢挙上角を90°未満とすることは,腰痛症患者に対して,腰椎前彎角の維持を目的とした自己管理の指針となることが推察された。