理学療法科学
Online ISSN : 2434-2807
Print ISSN : 1341-1667
原  著
原発性肺癌に対する肺葉切除術の術後呼吸器合併症の発生に影響を及ぼす要因
吉永 龍史蓬原 春樹臼間 康博高橋 裕二星本 諭
著者情報
ジャーナル フリー

2014 年 29 巻 1 号 p. 57-61

詳細
抄録

〔目的〕肺葉切除術の術後呼吸器合併症の発生率および合併症に影響を及ぼす危険因子を検討すること.〔対象〕原発性肺癌に対して肺葉切除を施行された71名(平均年齢71.0 ± 8.8歳)とした.〔方法〕診療録より後ろ向きに,術後呼吸器合併症の発生率,発生までの日数,その内訳を調査した.術後呼吸器合併症は, 医師による画像所見と臨床症状から術後新たに発症したと判断される無気肺または肺炎とした.術後呼吸器合併症の危険因子は,多重ロジスティック回帰分析を用いて抽出した.〔結果〕術後呼吸器合併症の発生率は14.1%,発生までの日数は術後当日が最も多く,その内訳は全例無気肺であった.また,術後呼吸器合併症に影響を与える危険因子は,body mass index(BMI)であった.〔結語〕術後呼吸器合併症は術後当日という早い段階で発生していたため,その日から呼吸理学療法の介入が必要である.また危険因子であるBMIは,術後呼吸器合併症の発生リスクの層別化から個別に対応した呼吸理学療法を行うための有益な情報となる.

著者関連情報
© 2014 by the Society of Physical Therapy Science
前の記事 次の記事
feedback
Top