抄録
〔目的〕本研究は,異なる方向の歩き始め動作において,予測的姿勢制御期の足圧中心(center of pressure: COP)と身体重心(center of gravity: COG)の挙動の違いを明らかにすることを目的とした.〔対象〕対象は下肢疾患の既往がない健常成人20人とした.〔方法〕課題は右下肢から前方,前方外側30°,前方内側30°,側方90°,後方の歩き始め動作とした.予測的姿勢制御期をCOPの動き始めから右下肢ステップ前の最大外側変位点と定義し,その間までのCOPとCOG変位量と,最大外側変位時間におけるCOGの加速度を求めた.〔結果〕COP左右および前後変位量とCOG左右変位量および左右加速度は,方向によって有意に異なっていた.〔結語〕予測的姿勢制御期におけるCOPとCOGの位置関係によって歩き始めの方向制御が決定されることが明らかとなった.