2014 年 29 巻 4 号 p. 515-519
〔目的〕本研究の目的は慢性期片麻痺患者のトレッドミル歩行時の麻痺肢立脚期の中殿筋に対して,機能的電気刺激(functional electrical stimulation: FES)を加えることが歩行にどのような影響を与えるのかを明らかにすることとした.〔対象〕対象は慢性期脳卒中症例1名.〔方法〕研究プロトコルはフォローアップ付きA-Bデザインとし,操作導入期にトレッドミル歩行時の麻痺肢初期接地期から加重応答期にかけて中殿筋に電気刺激を行った.〔結果〕介入後と介入12週後で歩行速度の増大,麻痺側外転筋力増大,modified Ashworth scale股関節内転筋低下,麻痺側立脚時間の増大,symmetry indexの改善が認められた.〔結語〕トレッドミル歩行と中殿筋へのFESを組み合わせることで慢性期片麻痺患者の歩行速度を向上させる可能性が示唆された.