2014 年 29 巻 4 号 p. 633-638
〔目的〕腰部多裂筋と下腿三頭筋への振動刺激時の重心動揺と転倒との関係を検証した.〔対象〕腰部脊椎疾患と診断され入院中の後期高齢者17名(男性9名,女性8名,年齢79.4±3.1歳)を対象とした.〔方法〕下腿三頭筋および腰部多裂筋に対して閉眼立位で交互に60 Hzの振動刺激を与えた.転倒経験者と未経験者の2群間で,固有受容加重比率(RPW),転倒スコア,腰背筋断面積,骨格筋量,腹筋力,背筋力を比較した.さらにRPWと転倒スコアとの相関の有無を検証した.〔結果〕転倒経験者のRPWは腰部の固有感覚が低下し,下腿優位の姿勢制御を示した.RPWと転倒スコアの間に相関を認めた.〔結語〕RPWが転倒との関連性に対する評価指標となることが示唆される.