抄録
〔目的〕大腿骨近位部骨折症例に対し,術後1週の歩行能力から退院時歩行能力を予測できる因子について検討した.〔対象〕大腿骨近位部骨折症例119例とした.〔方法〕術後1週の歩行能力から3群に分類し,退院時歩行能力の到達確率を算出した.また年齢や認知症などを加えた予測式を検討した.〔結果〕退院時に杖歩行獲得する確率は,術後1週の歩行能力が平行棒以下では24.2%,歩行器では86.7%,杖歩行以上では100%であった.また,多変量解析により,術後1週の歩行能力が平行棒以下群では年齢,手術までの日数,受傷前barthel index,歩行器群では年齢,認知症が採択された.〔結語〕術後1週歩行能力は大腿骨近位部骨折症例の予後予測をする上での指標となる.