2015 年 30 巻 2 号 p. 239-246
〔目的〕関節可動域(ROM)と筋力に関して,年代間の相違とその性差を検討すること.〔対象〕若年群,中年群,高齢群に分けられた脊柱,下肢に整形外科的既往のない男女141名.〔方法〕ROMと筋力測定は,股,膝,足関節に対して行った.〔結果〕ROMは,多くの項目が男性は中年群,女性は高齢群で著明に低下し,股関節内転,膝関節屈曲,足関節背屈では性差を認めず,股関節外旋のみ男性が有意に大きく,その他の項目は女性で有意に大きい値を示した.筋力は,多くの項目が男女とも中年群で著明に低下し,若年群の股関節伸展・外転・内転,膝関節伸展・屈曲,中年群の膝関節伸展において男性で有意に大きい値を示した.〔結語〕男女それぞれのROM,筋力の加齢による変化の傾向および性差を考慮した理学療法を実施することが重要である.