抄録
〔目的〕視空間情報が認知される前の情報弁別脳反応を脳磁計により検出し,その特性を明らかにすることを目的とした.〔対象〕神経的・精神的疾患の既往がない視力0.8以上の右利き健常成人10名を対象とした.〔方法〕仮現運動を利用し,同一方向に頻回に移動する標準刺激と反対方向に移動する逸脱刺激によるミスマッチ脳磁場反応(mismatch field, MMF)を測定後,上下左右方向への刺激で生じるMMFの推定電流強度を比較した.〔結果〕左方向の標準刺激と右方向の逸脱刺激により右半球に生じたMMF推定電流が有意に大きかった.〔結語〕右方向逸脱刺激の検出により多くの脳活動が生じることが示唆され,視空間認知機能には方向特異性が存在することが示唆された.この視空間認知機能と高齢者の転倒リスクとの関係が検討されるべきと考えられた.