抄録
〔目的〕安静立位における足位の違いが身体動揺にどのような影響を与えるのか検討した.〔対象〕健常男性9名とした.〔方法〕左右の脛骨粗面直下と上後腸骨棘の中点を3 部位に加速度/角速度センサーを装着した.開眼による開脚立位と閉脚立位をそれぞれ約40 秒間保持したときに得られる3 軸角速度からオイラー角を算出し,極角と方位角を用いて,各部位ごとに最大の極角(最大傾斜角)とそのときの方位角を求めた.〔結果〕3部位の最大傾斜角について,開脚立位では有意な差がみられたが,閉脚立位ではみられなかった.骨盤部の最大傾斜角の向きは左右であった.〔結語〕健常成人の安静立位時の身体動揺の特徴は,支持基底面が狭くなることで傾斜角の範囲は3部位で類似すること,骨盤部は左右に動揺しやすいことであると示唆される.