抄録
〔目的〕訪問リハビリテーション(以下:訪問リハ)における在宅利用者に対する上肢機能評価の有用性を検討することとした.〔対象〕左手関節骨折を受傷した高齢女性85歳とした.〔方法〕上肢の運動機能について,TraceCoder®を用いて打点検査,トレース検査および指標追跡検査を評価した.TraceCoder®によるトレース検査および指標追跡検査の評価項目は,ズレ量,筆圧,速度,総面積とした.評価は初日および3ヵ月後に実施した.〔結果〕訪問リハを実施3ヵ月後には,打点検査の筆圧,トレース検査および指標追跡検査の速度および総面積に改善が認められた.〔結語〕TraceCoder®を用いることで,在宅でも客観的に上肢の運動機能や能力の評価が可能となり,訪問リハの効果検証や訪問リハの動機づけに対して有用なツールであることが示された.