2016 年 31 巻 1 号 p. 61-66
〔目的〕頭頸部がん患者の手術後早期の肩関節外転可動域(外転ROM)の改善率が退院後のQuality of Life(QOL)に与える影響を明らかにする.〔対象〕頭頸部がん患者28例36肢(男性24名,女性4名,平均年齢58.5 ± 12.0歳).〔方法〕手術前と手術後1ヵ月の外転ROM改善率のカットオフ値を算出し,改善群と非改善群に分類した.さらに外転ROM,QOL評価を,手術後3ヵ月,6ヵ月の時期に実施した.統計学的検討は,群間と時期を2要因とした混合モデル2元配置分散分析を使用した.〔結果〕外転ROMとQOLの身体の項目に,群間と時期に有意な主効果が認められた.〔結語〕手術後早期の外転ROMの改善はQOLの長期的経過にも影響を与えることが明らかとなった.