抄録
〔目的〕野球投手において,投球時に肩関節に痛みのある群(有症状群)とない群(無症状群)で,上腕骨頭後捻角,ならびに,それを除いた2nd肢位での肩回旋可動域(補正角度)を比較した.〔対象〕男性の野球投手69名(有症状群38名・無症状群31名)とした.〔方法〕超音波画像診断装置を用いて上腕骨頭後捻角,ならびに補正角度を計測し,それぞれを2群間で比較した.〔結果〕上腕骨頭後捻角は2群間で有意差はなかった.有症状群は無症状群に比べて,投球側の補正外旋角度が有意に大きく,補正内旋角度は有意に小さかった.一方,非投球側の補正回旋角度に有意差はなかった.〔結語〕投球時痛に伴う回旋可動域の変化は,上腕骨頭後捻角より軟部組織性因子との関連性が示唆された.